風の吹くまま、日々の雑感を記録しとこうか程度の日記です。誹謗中傷や個人攻撃&個人の信用にかかわること、理解を求めない一方的なコメントは、独断で削除することもありますし、閉じることもあります。


by ende_m
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

「才能は現場で育てる」に納得する

f0002751_23545991.jpg

 4月12日、メディア開発総研の主任研究員である菊池実さんの「映画界のこれからを予測する」という講演会に参加した。
 この講演会は、映演労連という労働組合の主催で行われたものだが、テーマがテーマなので、組合員に限らず広く呼びかけられて行われたものだった。
 菊池実さんは、電通出身のマーケティングのプロだ。しかも、今から11年前の1996年4月に行われた、当時の映演総連の96決起集会で、「こうすれば映画人口を2倍に出来る」という講演を行った経緯がある。あれから、10年、映画界はどう変わったのか、これからどう変わっていくのか?素人の私でさえ、興味津々になるタイムリーな企画だ。聞き逃す手はない。




f0002751_23564727.jpg

 菊池さんの講演については、詳しい講演録が出されると思うので、ここでは、私自身が印象に残ったところを書き留めておこうと思う。

 現在、日本の映画館はシネコンの急増で、スクリーン数は3220スクリーン。サイトでいえば232サイトだそうだ。しかし、スクリーンの増加に対して観客動員数である、映画人口は1億6000万人にとどまっている。

 この10年で何が変わったのか…。
 96年当時、映画人口は1億2000万人を切り、映画興業史上最悪の状況であった。「男はつらいよ」シリーズが終了したのも、この年であった。
 高齢化、少子化による価値観の変化、グローバル化、規制緩和がソフト産業に多大な影響を与えた。民俗化していた興業界に外資(シネコン)が参入した。失われた10年の後、勝ち組と取り残された人々との二極化が進んできた。10年サイクルだけでなく、50年のサイクル(コンドラチェフ・サイクル)で見る必要もある。と語った後、日本のレジャー産業の状況を世代別の具体的な数値で明らかにしながら(確かに、スキーやゴルフなどの参加人口は激減している)、人口は減少しているが、世帯数は3000万世帯から5000万世帯と逆に増えており、住宅などの世帯をkeyにした業種は伸びるが、サービス産業は人口減と、高齢化による価値観の変化で非常に大きな問題を抱えるに至ったと語った。
 なによりもビックリしたのは、映画の参加人口を世代で分析したところ、10代が減り、20~30、50代の映画人口が増えているのだそうだ。これは、テレビの視聴でも同様の結果が出ており、10代への映画参加をどう仕掛けるかが今後の課題であると分析していたのには驚いた。50代の人は昔見ていた人が映画館にリターンするから良いが、全く知らない世代に見向きもされないことは深刻というのにも、さもありなんと思うのだった。
 取り分け、今回印象に残ったのは、デジタル化、グローバル化、マルチユース化が進む中で、情報メディアビジネス全体が、イベント化する傾向にあることを指摘していたことである。これは、映画だけでなく、出版、音楽にも共通した傾向だそうだ。
 何か事がおきたら、ネットもそうだが、一つのことに熱狂し、大勢の人が集まり、多様性が失われていく。

 また、映画の封切り本数は731本と増加しているものの、シネコンは当たる映画しかかけない。つまり、スクリーン数は増えても、かかる映画が寡占化されているだけで、映画館の稼働率、回転数は逆に落ちているのだそうだ。そりゃ、そうだろうなと思う。マーケッティングのプロからすれば、日本全国の商圏を考えたら、まだ穴ぼこだらけなので、映画館は増えるし、つぶれるところも出るそうだ。

 菊池さんの話は、この後「すべての予測は予測はずれに終わる」としながら、劇映画について、デジタルシネマのことなどを語ったのだが、やはり、興業はマーケッティングする必要はあるが、作品づくりについては、行き過ぎたマーケッティングや、制作委員会方式で、作品自体がイベント化すると、逆にクォリティビリティーが阻害される。ハリウッドはその傾向にある。と鋭く指摘されたことにあると思う。
 最後に、フジテレビやTBSを例に出しながら、社内での物作り、作品作りなどの必要性を説くとともに、大学での映像学部や、国のコンテンツ支援策がムダになっている、やはり「才能は現場で見つけ、現場で育てるものだ」という指摘に至っては、涙が出るほど全く同感。思わず心の中で拍手したのでした。
[PR]
by ende_m | 2006-04-14 23:58 | 日記