改正パートタイム労働法と契約労働者
2008年 02月 07日
●通常の労働者と同視すべき短時間労働者についての差別禁止規定
08年4月1日より、「改正パートタイム労働法」が施行されます。この「改正パートタイム労働法」では、短時間勤務のパートと正規社員の差別禁止、均等待遇が謳われています。しかし、圧倒的多数を占めるフルタイムの契約労働者、契約社員はこの法律からは外されています。10年、20年、社員と同一労働をしてきた契約者もいます。
今後、「短時間勤務労働者の差別禁止規定があるのに、フルタイム労働者である契約社員や契約労働者に差別禁止規定がないのは、民法90条(注1)違反である」という議論がおこることが予想されます。
●「改正パートタイム労働法・第8条のポイント」4月1日施行
1.事業主は、職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について、差別的取扱いをしてはならない。
2.1の期間の定めのない労働契約には、反復更新によって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる有期契約を含むものとする。
職務の内容、人材活用の仕組みや運用など が全雇用期間を通じて同じ、契約期間が実質的に無期契約となっているパートタイム労働者は、通常の労働者と就業の実態が同じと判断され、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されます。
「人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ」とは、パートタイム労働者が通常の労働者と職務が同一になってから、退職までの期間において、事業所の人事システムや慣行から判断して同じ、となる場合です。
「契約期間が実質的に無期契約」とは、
a)期間の定めのない労働契約を結んでいる場合と、b)期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合です。
これは、契約期間について通常の労働者と同様であるかどうかを判断する際、形式的に判断するのではなく、実際の取扱いがどうなっているかを判断する、という考え方によるもので、期間の定めがない労働契約を結んでいる場合(aの場合)だけでなく、反復更新によって実質的に期間の定めのない労働契約と変わらない雇用関係の場合(bの場合)も通常の労働者と同様の実態にあると判断します。
期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合(bの場合)、とは最終的には裁判所において判断されることになりますが、これまでの裁判例をみてみると、
(1) 業務の客観的内容
(恒常的な業務に従事しているのか、臨時的な業務に従事しているのか、通常の労働者の業務との違いがあるのか)
(2) 契約上の地位の性格
(契約上の地位が臨時的か)
(3) 当事者の主観的態様
(継続雇用を期待させる事業主の言動や認識があったか)
(4) 更新の手続・実態
(反復更新の有無や回数、勤続年数、契約更新時の手続方法)
(5) 他の労働者の更新状況
(同様の地位にある労働者の雇い止めの有無)
などが判断材料とされています。
参考になればと思い、契約社員、契約労働者にかかわる第8条についてまとめてみました。
(注1)民法90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」
(文中資料)厚生労働省HP
08年4月1日より、「改正パートタイム労働法」が施行されます。この「改正パートタイム労働法」では、短時間勤務のパートと正規社員の差別禁止、均等待遇が謳われています。しかし、圧倒的多数を占めるフルタイムの契約労働者、契約社員はこの法律からは外されています。10年、20年、社員と同一労働をしてきた契約者もいます。
今後、「短時間勤務労働者の差別禁止規定があるのに、フルタイム労働者である契約社員や契約労働者に差別禁止規定がないのは、民法90条(注1)違反である」という議論がおこることが予想されます。
●「改正パートタイム労働法・第8条のポイント」4月1日施行
1.事業主は、職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について、差別的取扱いをしてはならない。
2.1の期間の定めのない労働契約には、反復更新によって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる有期契約を含むものとする。
職務の内容、人材活用の仕組みや運用など が全雇用期間を通じて同じ、契約期間が実質的に無期契約となっているパートタイム労働者は、通常の労働者と就業の実態が同じと判断され、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されます。
「人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ」とは、パートタイム労働者が通常の労働者と職務が同一になってから、退職までの期間において、事業所の人事システムや慣行から判断して同じ、となる場合です。
「契約期間が実質的に無期契約」とは、
a)期間の定めのない労働契約を結んでいる場合と、b)期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合です。
これは、契約期間について通常の労働者と同様であるかどうかを判断する際、形式的に判断するのではなく、実際の取扱いがどうなっているかを判断する、という考え方によるもので、期間の定めがない労働契約を結んでいる場合(aの場合)だけでなく、反復更新によって実質的に期間の定めのない労働契約と変わらない雇用関係の場合(bの場合)も通常の労働者と同様の実態にあると判断します。
期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合(bの場合)、とは最終的には裁判所において判断されることになりますが、これまでの裁判例をみてみると、
(1) 業務の客観的内容
(恒常的な業務に従事しているのか、臨時的な業務に従事しているのか、通常の労働者の業務との違いがあるのか)
(2) 契約上の地位の性格
(契約上の地位が臨時的か)
(3) 当事者の主観的態様
(継続雇用を期待させる事業主の言動や認識があったか)
(4) 更新の手続・実態
(反復更新の有無や回数、勤続年数、契約更新時の手続方法)
(5) 他の労働者の更新状況
(同様の地位にある労働者の雇い止めの有無)
などが判断材料とされています。
参考になればと思い、契約社員、契約労働者にかかわる第8条についてまとめてみました。
(注1)民法90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」
(文中資料)厚生労働省HP
by ende_m
| 2008-02-07 11:52
| 労働組合