『トラちゃんと花嫁』と平和憲法
2006年 02月 27日
このところアニメのエントリーが続いちゃってるけど、またまたアニメの話。
この手の話は時代とともに風化するので、忘れないうちにメモ書き程度に書いとこうと思う。上映会のお知らせとかではありませんので、そのつもりで宜しければ、しばしお付き合い下さい。
以前、「映画人が何で9条にこだわるのかを考える」という記事をエントリーしたが、戦前のアニメ作家も同様に「映画法」で縛られていた。当然、フイルムも配給制だった。
そこで、戦意高揚を目的とした国策映画『桃太郎の海鷲』『桃太郎・海の新兵』が、松竹で製作されることになる。しかし、劇場も空襲で焼けてしまっていたので、公開はできなかったそうだ。
今では、戦前のアニメ作品として、この「桃太郎シリーズ」が、戦前アニメの代表作のように語られることも多いが、こうした時代の中で製作された政岡憲三の『くもとチューリップ』は、その叙情性の豊さ故、今でも評価されている。
ぼくとしては、戦後製作された『トラちゃんと花嫁』(1948年・日本動画社・演出政岡憲三)という短編作品をもう一度見たいと思っている。
ストーリーを話してしまうのは、映画評論的にはルール違反かも知れないけど、評論が目的ではないし、目に触れる機会も皆無なので、かいつまんで紹介しとこうと思う。
この作品は、前半いたずら好きの子猫のトラちゃんが、そのいたずらを紋付袴の恰幅の良い、いかにも家父長制の代表のような髭をはやしたおじいさん猫に怒られるところから始まる。そのトラちゃんのお姉さん猫に、これまた好きな猫ができて結婚したいと思う。で、当然、トラちゃんもお姉さん猫も、このおじいさん猫に、絶対結婚を反対されると思い込むという話の展開だった。
それが、ラストのドンデン返しで、このお姉さん猫の結婚が何故か許されることになる。
最後にトラちゃんがおじいさんに、どうして結婚を許したのか訊ねると、おじいさん猫曰く「だって、平和憲法の世の中じゃからな。ガッハッハ」と、豪快に笑い飛ばすところで終わるという、とってもすてきな短編アニメーションだったのだ。
僕は、このアニメのラストを見て、ぶっ飛んだ記憶がある。今思い返すと、当時の軍国少年たちが、唐突に平和憲法と出くわした「驚き・戸惑い・喜び」なんかが、重ね合わされる奥深い作品だったんだね。とにかく、その時代の空気が伝わってきたアニメーションだったことは確かだ。
この手の話は時代とともに風化するので、忘れないうちにメモ書き程度に書いとこうと思う。上映会のお知らせとかではありませんので、そのつもりで宜しければ、しばしお付き合い下さい。
以前、「映画人が何で9条にこだわるのかを考える」という記事をエントリーしたが、戦前のアニメ作家も同様に「映画法」で縛られていた。当然、フイルムも配給制だった。
そこで、戦意高揚を目的とした国策映画『桃太郎の海鷲』『桃太郎・海の新兵』が、松竹で製作されることになる。しかし、劇場も空襲で焼けてしまっていたので、公開はできなかったそうだ。
今では、戦前のアニメ作品として、この「桃太郎シリーズ」が、戦前アニメの代表作のように語られることも多いが、こうした時代の中で製作された政岡憲三の『くもとチューリップ』は、その叙情性の豊さ故、今でも評価されている。
ぼくとしては、戦後製作された『トラちゃんと花嫁』(1948年・日本動画社・演出政岡憲三)という短編作品をもう一度見たいと思っている。
ストーリーを話してしまうのは、映画評論的にはルール違反かも知れないけど、評論が目的ではないし、目に触れる機会も皆無なので、かいつまんで紹介しとこうと思う。
この作品は、前半いたずら好きの子猫のトラちゃんが、そのいたずらを紋付袴の恰幅の良い、いかにも家父長制の代表のような髭をはやしたおじいさん猫に怒られるところから始まる。そのトラちゃんのお姉さん猫に、これまた好きな猫ができて結婚したいと思う。で、当然、トラちゃんもお姉さん猫も、このおじいさん猫に、絶対結婚を反対されると思い込むという話の展開だった。
それが、ラストのドンデン返しで、このお姉さん猫の結婚が何故か許されることになる。
最後にトラちゃんがおじいさんに、どうして結婚を許したのか訊ねると、おじいさん猫曰く「だって、平和憲法の世の中じゃからな。ガッハッハ」と、豪快に笑い飛ばすところで終わるという、とってもすてきな短編アニメーションだったのだ。
僕は、このアニメのラストを見て、ぶっ飛んだ記憶がある。今思い返すと、当時の軍国少年たちが、唐突に平和憲法と出くわした「驚き・戸惑い・喜び」なんかが、重ね合わされる奥深い作品だったんだね。とにかく、その時代の空気が伝わってきたアニメーションだったことは確かだ。
by ende_m
| 2006-02-27 16:36
| 憲法